鮨 さくら川(閉店)のこだわり
扉を開ければ、すっきり凛とした空気が流れる「鮨さくら川」。店主駒田さんの握る寿司や一品料理にわかりやすい派手さはない。だが口にすると、細やかな手仕事が生む上品な美味しさと、なにより日本人が心の底からホッとする真心が感じられる。オープンして今年で10年。この端正な江戸前寿司を求め、足繁く通う常連客も数知れず。
ネタはとことん天然物にこだわり、最旬の時期を見極めて日本全国から取り寄せる。旨みを引き出す”仕事”を随所に施すだけでなく、ネタにあわせて握り方やシャリの温度も細かくコントロールする念の入れようだ。予約時間に合わせて炊くというシャリへのこだわりも深く、専門店からありとあらゆる塩を集め、米酢と赤酢のバランスに調整を加えながら、味の完成までに半年を要したのだとか。口の中ではらりとほどける炊き加減も絶妙だ。
一人ひとりに目を配り、最高のタイミングで提供するため、夜はカウンターでの「季節のおまかせ」が基本。おつまみ3品、握り10貫、手巻き寿司、玉子、味噌椀、自家製デザートから成る4800B++のコースと、先の内容におつまみが5品、握りが11貫に増える6000B++のコースの2種類で、最後のひと口まで期待がふくらむ構成となっている。
春から初夏にかけて旬を迎えるホタルイカ。身は柔らかく香りよく、新鮮そのもの
ボイルしたホタルイカに味噌とみょうがを刻み、軽く火入れして仕上げる人気の一皿。ホタルイカのプリっとした歯ごたえに肝の濃厚な味わい、みょうがのシャキシャキ食感、散らした芽ネギも香りよく、この時点でもうグッと心をつかまれる。
春先の限られた期間しか出回らない真鯛の白子。濃厚かつ舌の上でさらりと溶ける
白子の中でも稀少な真鯛の、とくに大きいサイズのものだけを厳選。臭みはなく新鮮でぷりぷり、タイではめったにお目にかかれないクオリティだけに感激もひとしおだ。
鰆のたたき。しっとり甘い身とパリッと香ばしい皮の間にある旨みこそが真の主役
かます、シマアジなどその時もっとも旬の魚をパリッと炙って自家製ポン酢でいただくたたきは、同店の花形メニュー。身のなめらかさと皮の香ばしさ、皮と身の境目に凝縮された脂の旨みはもちろん、よりクリスピーな食感に仕上げるため、皮の部分だけ水分を飛ばしておくという手間ひまの結晶にも唸らされる。
イカの身の中でもっとも柔らかい部分だけを使用。シャリとともに口の中ではらりとほどける
寿司のトップバッターとして信頼も篤いのがこちらのイカ。ごくごく薄切りにひいた身を軽やかに握り、基本は淡路の藻塩だけで。「柑橘の風味が欲しい時は、すだちやマナオなど柑橘をほんの一滴絞ってみて下さい」と駒田さん。このベストバランスも頭の中に蓄積されたデータがあってこそ。
季節ごとに日本近海や地中海など産地を変えて取り寄せる最高品質の本マグロ
独自の隠し技を加えたマグロもまた、ここでしか食べられない逸品だろう。脂のりと身の締まりが抜群なマグロを自家製の煮切り醤油に軽く漬け、シャリと合わせたら再び煮切りをさっと塗り完成。醤油の香りが食べ終わりまでふんわりと鼻腔をくすぐり、力強いまぐろの旨みに華を添える。
アソーク駅にほど近いジャスミンシティホテル地下階にありアクセスも良好
カウンターと4卓のテーブルで構成された店内はしっとり大人の雰囲気で、越前焼、九谷焼など店主のふるさと北陸の器を用いて、端正な料理を演出する。一流の味を肩肘張らずに楽しむのなら、ばらちらし590B++からミニおまかせコース2500B++まで揃ったランチタイムにも訪れるのもいい。本当に美味しいものだけをちょっとずつ味わえる大人の贅沢空間。早めの予約がベターなのは言うまでもない。
<店主駒田直通LINE(日本語)>
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