割烹 山内のこだわり
レインヒル1階と便利な場所ながら、一歩店内に入れば静謐な雰囲気のなか、四季折々の海山の幸を生かした美食が楽しめる「割烹山内」。シェフの山内政治さんは料亭や料理旅館で研鑽を重ね、有名割烹店の料理長として長年辣腕を奮ってきた超実力派。こだわりの食材、出汁、調味料、料理を引き立てる器などを巧みに使い分けながら、端正な和食をここタイでも鮮やかに再現してくれる。
今回紹介するコースは、季節ごとに変化する献立で組み立てられた、4800B++と7200B++の2コース。昼・夜ともに同じ内容で、食材や調理法のリクエストにも柔軟に応じてくれる。
京都伊根湾で育った本マグロは良質な脂と赤身の旨味がほとばしる
食材は時期によって異なるが、3月の取材時には生雲丹、毛蟹、本マグロなどが並び、中でも本マグロは引き締まった身と抜群の脂のり、赤身の旨味が凝縮した味わいで、思わず海外にいることを忘れそうになるほど。刺身やマグロ丼で心ゆくまで味わいたい逸品だ。
モチモチの牛乳豆腐と甘くとろける生雲丹の競演。穂紫蘇の香りがいいアクセントに
こちらは牛乳を煮詰めて葛粉で仕上げた嶺岡豆腐に、生雲丹をあわせた華やかな一皿。葛独特のもっちりした食感、クリーミーで味わい深い豆腐に、かつお出汁のジュレ、散らした穂紫蘇と、細部に至るまで和の心が息づいており、ひと口ごとに「旨い」が出てしまう。
繊細な仕掛けを施した鯛のお造りに、伊豆から取り寄せる生わさび、ごまだれを添えて
ごまだれをまぶした鯛の刺身を、まずはお造りとして。次に昆布と鰹でとった出汁を回しかけて。一度で二度ウマい鯛茶漬けに寄り添うのは、伊豆産の香り高い生わさび。咀嚼するほどに鯛の甘みが引き立ち、ふっくら炊かれたご飯と共に、口の中で美味が重なってゆく。
和牛の真髄を味わうならコレ。厚みはあるのに柔らかい肉はシルクのような口当たりもご馳走
日本三大和牛に数えられる近江牛の、サシと赤身のバランスに優れた部位を厳選し、すき焼き、またはしゃぶしゃぶで。特製のタレにさっと潜らせてから焼きを入れ、丁寧に泡立てた卵黄の濃厚ソースをからめて食べるすき焼きは、まさに極上!の一言。しゃぶしゃぶと同様に全ておまかせで作ってもらえるので、最高の肉を最高のタイミングで味わうことができる。
和食の魅力がたっぷり詰まった一皿が届くごとに、歴史を受け継ぎながらしっかり進化させている手腕に目を見張る。「新しい発見というのがまだこの年になっても多くあります。ありがたいことです」と山内さん。“故きを温ねて新しきを知る和食”がここにある。
4月1日、ミシュラン店「鮨みさき」の並びにオープン。全面バリアフリーなのも嬉しい配慮
料理に真摯に向き合う姿、確かな技術を間近に見ることができるカウンターは5席、プライバシーに配慮した個室が2部屋。大切な会食や接待、記念日と、あらゆるシーンに寄り添う。席に空きがあれば当日のウォークインも可能だが、コースの相談などを含めた事前の予約がベター。「お客様に喜んでいただけるのが一番。二度、三度と足を運んでもらえるようになりたいですね」とどこまでも客目線な気鋭店、足を運ぶならお早めに。