2015.11.15連載
タイカルチャー基礎知識:ロイクラトン
タイでは11月に祭日は一日もありませんが、老若男女が心待ちにしている「ロイクラトン」(灯篭流し)が今年は11月25日(水)にあります。「ロイクラトン」のロイは“漂う“浮かべる”、“流す”という意味。クラトンは、バナナの葉で作った容れ物のことで、この祭りでは蓮の花などをかたどって作った灯篭のことを指します。10月27日のオークパンサー(出安居)とともに雨季明けを迎えたタイでは、このロイクラトンの日を境に、更に気温が下がり、すがすがしい本格的な乾季を迎えます。
この陰暦12月の満月にあたる日には、ソンクラーン(タイのお正月・水かけ祭り)と並ぶタイの二大伝統行事が行われます。灯篭を川に流して、水の精霊に作物の収穫を感謝し、また、この1年間に自分がした悪事を水に流すことが出来ると信じられています。特に、恋人がいる人にとっては大切な日で、二人で灯篭を選んで川べりに行き、川の女神に感謝を込めて川に流します。 灯籠が離れずに流れていけば、そのカップルは別れないと信じられているのです。ソンクラーンと同様に、ロイクラトンにも童謡 のような歌があり、この時期になると繰り返し耳にすることと思います。
この習慣は13世紀のスコータイ王朝時代に始まったことから、 スコータイでは11月21日(土)~25日(水)までスコータイ歴史公園で「スコータイ・ロイクラトン」というイベントが行われます。
チェンマイでは「イーペン」と呼ばれる祭りがあり、多くの灯籠が浮かべられたピン川は、地上の天の川のように美しく彩られます。また、美しく飾られたフロートが街を優雅に練り歩くパレードはお祭りのメインイベントで、チェンマイでしか見ることの出来ないものです。
※イベントの日程は変わる場合がありますのでご確認ください
住田 千鶴子 スミタ・カルチャー・センター&プロダクション主宰。長年にわたり、日本人駐在員や日系企業のタイ人従業員向けのトレーニング講師、国際会議での通訳・翻訳業務に携わる。東京ディズニーランドにて会議通訳・コーディネータ ー・アシスタントマネージャーとして18年活躍。初来タイは50年前の1963年。日本人駐在員の必須マナーについての著書が12月27日に出版予定 (SUMITA Limited Partnership出版)。 http://sumitaschool.com/