2016.02.22連載
駐在生活お悩み相談:若いタイ人女性スタッフに上下関係を無視されているようで…
慣れない海外生活には、いろいろな悩みがつきものですよね。なかでも、妻・彼女やタイ人女性スタッフなど、女性とのコミュニケーションの問題に頭を抱えている方も多いのでは?ここでは、男女の心理に詳しい平松隆円先生が、状況を打破する方法を指南。少し心が軽くなる読む処方箋です。
オトコの駐在生活お悩み相談 その15
若いタイ人女性スタッフたちが、学校のようなノリで僕と友だちのように接してきます。年が近いとはいえ上下関係を無視されているようで…。どうしたもんでしょうか。
(29歳、未婚、駐在歴4か月)
スタッフたちと友達のように仲良くできるなんて、うらやましいですね。ボクは大学で働いていますが、学生たちからは手を合わせられたり、話すときに地べたにしゃがまれるなど、堅苦しくてうんざりしています。
あなたは29歳と若く、駐在4か月ということであまり実感がわかないかもしれませんが、タイは確固たるヒエラルキー社会です。 学歴や年齢、役職や出自によって上下関係が決まります。ですので、年齢や役職が自分より上の人に対して、友達のように接することは本来あまりないんです。にも関わらず、あなた が友達のように接してもらえているというのは、よほど親しみを覚えてもらっているからなのでしょう。職場の風通しがいいということで良しとすべきことかもしれません。
ただ、一方で、友達のように接していると思っているのが、実は勘違いかもしれません。 たとえば、単純に敬語が話せないだけかもしれないからです。大学で日本語を専攻したからといって、日本語を正しく話せるわけではありません。日本語検定という試験がありますが、大学で4年間勉強しても、最低の5級や4級程度の日本語力しかない学生がほとんどだったりします。日本の学生たちが中高6年間も英語を勉強したのに使えないのと同じような感じです。日本語が不自由なため、友達言葉でしか話せないのかもしれません。
また、日本のビジネスシーンではLINEは連絡手段として一般的ではありませんが、タイではよく使われています。欠勤の連絡なども、LINE一本で終わりということもしばしば。 あなたが友達感覚だと思っていても、タイ人 スタッフはそうは思っていないということも考えられます。
もうしばらく、職場のスタッフの様子を観察してみてください。きっと、いろいろ気づくことがあると思います。
今月の処方箋:ヒエラルキーを重視するタイでは、本来、目上の人に対して友だち感覚で接することはありません。彼らの日本語能力を踏まえ、スタッフたちともっとよく話してみましょう。
平松 隆円 大学教員 / コラムニスト 京都大学研究員、国際日本文化研究センター講師、チュラロンコーン大学講師などを歴任。魅力や男女の恋ゴコロに関する心理に詳しい。現在は、タイ国立大学勤務のため生活の拠点をバンコクに移し、日本と往復しながら、大学の講義のみならず、テレビ、雑誌、講演会などの仕事を行う。 http://ameblo.jp/ryuenhrmt/
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