2016.01.21連載
タイカルチャー基礎知識:タイの教育事情
日本は大学受験シーズン真っ只中。私は ISB からアメリカの大学に進みましたが、皆様のお子さんは日本に戻られるのでしょうか? タイは階層社会国であると同時に、学歴社会国でもあります。基本的な教育制度は日本と同じ6・3・ 3年制で、大学進学率は近年目覚ましく伸びています。
現在、 国立大学上位10位は、チュラロンコン大学、タマサート大学、 シリントン国際工科大学、カセサート大学、シラパコーン大学、 チェンマイ大学、キングモンクット工科大学、シーナカリンウィロート大学、コーンケン大学、マヒドン大学、そしてナレースワン大学です。
国立大学は学費が安く狭き門ですが、卒業すれば将来が約束されます。たとえば、バンコクとパタヤを除くすべての県知事を内務省が決める指名制度がありますが、チュラ大の政治学部は内務省に強く、政治の世界を目指す者にとっては日本の東大法学部に匹敵します。
しかし、タイの学歴社会の頂点に君臨しているのは、欧米の大学院や大学を卒業した者たちです。学歴によってある程度初任給が決まるというのも、多くのタイ人がより上の大学を目指す理由です。初任給は高卒で大体 10,000B 前後、大卒は 15,000 ~ 18,000B、大学院卒は 18,000 ~ 25,000B ぐ らいからとなり、海外のトップ 30 に入る大学院卒では大体 25,000 ~ 30,000B ぐらいになるようです。
大卒で日系企業に勤める社員が、ある日突然「大学院に進むことにしました」と言って辞めることがありますが、この場合の退職理由はほとんどが真実。こうした退職者が多く出るのも1月から3月頃までの間です。「もっと勉強して上を目指したい」と言って去る社員が多いのは、タイの学歴社会と教育事情にも理由があります。もし、そんな社員がいたならば、 心から「頑張れ !」と応援してあげてほしいと思います。
住田 千鶴子 スミタ・カルチャー・センター&プロダクション主宰。長年にわたり、日本人駐在員や日系企業のタイ人従業員向けのトレーニング講師、国際会議での通訳・翻訳業務に携わる。東京ディズニーランドにて会議通訳・コーディネータ ー・アシスタントマネージャーとして18年活躍。初来タイは50年前の1963年。日本人駐在員の必須マナーについての著書が12月27日に出版予定 (SUMITA Limited Partnership出版)。 http://sumitaschool.com/