2016.05.17連載
タイカルチャー基礎知識:5月20日ワン・ウィサーカブーチャー(仏誕節)
今年の5月は祝祭日が3日あります。国民の 80%以上が上座部仏教徒であるタイでは、仏教に関する祭りが多くありますが、特に下記の5つは国の祭日とされ、大切に継承されています。ちなみに、タイでは陰暦(月の満ち欠け)を基に決まる祭日が多いため、毎年同じ日が祭日とは限りません。
一つ目は2月中旬(今年は2月22日)のワン・マーカーブーチャー(万仏節) です。その昔、なんの前触れもなく1,250名ものお釈迦様の弟子が釈迦の下一同に会したのを祝う祭りです。2つ目が5月(今年は5月20 日)のワン・ウィサーカブーチャー(仏誕節) で、お釈迦様の生誕、成道(悟りを開き仏 となった日)、涅槃(仏の悟りを得た日)を祝う日です。そして 3つ目は7月下旬(今年は7月19 日)のワン・アーサーンハブーチャー(三宝節)で、釈迦が悟りを開いて初めて5人の弟子に法を説いた、仏・法・僧の3宝の成立を祝う祭りです。タイ陰暦の8月の満月の日にあたります。
4つ目は、三宝節の翌日のワン・カーオパンサー(入安居)で、この日から約3ヶ月間の雨季に入るという意味を持ち、この日から雨季明けまで僧侶は外出をひかえ、寺にこもって修行に励みます。出家する人が一番多いのもこの期間です。5つ目は、今年は10月16日にあたり、雨季が明けるという意味を持つワン・オークパンサー(出安居)です。一時的に出家をしていた者たちの多くが寺を出て、通常の生活に戻ります。そしてこの日を機にお寺の改修の為の寄付集めや、3ヶ月の長い修行生活を送った僧侶たちへ黄色い僧衣を差し上げるなどの寄進活動が活発になります。 以前は国王陛下や皇太子が華麗な御座船に乗ってワット・アルンなどの各寺を訪問して寄進を行っていましたが、今でも特別な年には、この習わしを再現して華麗な御座船がチャオプ ラヤー川を下ります。今年は見ることが出来るでしょうか?
住田 千鶴子 スミタ・カルチャー・センター&プロダクション主宰。長年にわたり、日本人駐在員や日系企業のタイ人従業員向けのトレーニング講師、国際会議での通訳・翻訳業務に携わる。東京ディズニーランドにて会議通訳・コーディネータ ー・アシスタントマネージャーとして18年活躍。初来タイは50年前の1963年。日本人駐在員の必須マナーについての著書が12月27日に出版予定 (SUMITA Limited Partnership出版)。 http://sumitaschool.com/