鮨 石司(せきじ)のこだわり
江戸前の流れを汲む創作寿司、季節の一品料理や串揚げなど、きちんと仕立ての和食がリーズナブルに楽しめる「石司」。つけ場を守る大将はこの道26年のベテランで、腕前はもちろん、和やかな接客と所作の美しさも見どころだ。鮮度よし、味よし、技ありの握りは一貫50B~とすでに充分安いが、とりわけコースは12品1200Bスタートで、16品2000B、19品3000B、懐石4000Bと、どれもお値打ち。1200Bの一番ライトなコースでもお通し、特選寿司9貫、味噌汁、デザートを含め12品。ここに最高ランクの雲丹も含まれるというから実に贅沢!
赤酢のシャリと、繊細な仕事を施したネタが、口の中でほどけてゆく
濃厚な旨みと香りの本まぐろ大トロ、蟹、和牛、キャビアなど豪華食材を惜しみなく使い、いかにネタやシャリの旨さを引き出すか、炙ったり煮たり締めたりと伝統の手法を重んじながら、さらに進化を続けているのがここの寿司の凄いところ。
熟練の技と旬を堪能するお造り。天然ものにこだわり、日本から季節に応じて取り寄せる
コースの中には、豪快に切りつけた天然マグロなど、その日一番を惜しみなく盛り合わせた一品も。脂のりもよく身が引き締まったカンパチを甘口醤油とごまだれの特製ダレで和えた「カンパチ刺身胡麻ダレ」は、大将の故郷九州の名物。素朴な郷土料理でありながら、洗練を極めた大人の一皿に仕上がっている。
油と衣にこだわる天ぷらもこの店のシグネチャー。薄衣はどこまでも軽く、胃もたれ知らず
この店を訪れるなら、熟練の技を間近に見渡すカウンター席にぜひ腰かけたい。日本人の職人が握る姿はもちろん、厳しい修業を積んだタイ人板前がきびきび動く様子も清々しく、食材、揚げ油、粉に至るまで徹底した天ぷらが目の前で揚げられていく様子も、また楽しい。口に運べばサクッと軽めな食感も職人技の賜物。これは寿司に負けじと高い人気を誇るのもうなずける。
2022年9月にオープンした気鋭の一軒。賑やかなタニヤ通りの入口にありロケーションも抜群
酒のプロが選んだ、寿司によく合うワインやシャンパンのラインナップも豊富。シャンパン界の著名な醸造家が手がけた日本酒、日本各地のレア焼酎、多種多彩なフルーツリキュールと和食に寄り添う酒はたくさんあるが、おすすめは3種類の日本酒を並べて味わう「本日のサービス日本酒」(120㏄/300B)。じっくり味わいながら、自分好みの日本酒を探っていくのもまた一興だ。
和モダンなインテリアの中にも漂う重厚感。大人がゆっくり過ごすにふさわしい空間だ
店内を見渡せば一人客にカップルと客層は幅広く、格子で仕切られた半個室も4つと、接待での利用は言わずもがな、家族連れでも気兼ねなく楽しめるはず。会合や宴席に重宝しそうな気品も備えながら、サービスチャージなしという心意気もしみじみと嬉しい。