2015.02.17連載
タイカルチャー基礎知識:スマートなチップの作法
駐在員のみなさんの中には、タイでのチップの習慣になかなか馴染めない人がいるのではないでしょうか。まず分からないのは、いくら払うのが適切かということでしょう。欧米諸国では、食事代の10〜15%のチップを払うという分かりやすい方程式があります。しかし、タイでは、3,000バーツの食事をしたとしても、せいぜい100バーツ位しか置きません。ただし、 これはお盆の上に置く額です。これ以外に、実際にサービスしてくれたウェイターやウェイトレスに、1人100バーツ位ずつ渡します。お盆の上のチップと個人に渡したチップは、違うポケッ トに入るからです。自分のテーブルについたウェイターやウェイトレスのサービスが悪かったら、渡す必要はありません。その代わり、良かった場合には、お盆にのせる額以上にはずむことをお勧めします。次回、またそのレストランを使う際には、彼らは必ず覚えているので、良いサービスが期待できるのです。
チップで気を付けたいのが、小銭は使わないことです。お盆にのせる場合は、お札プラス小銭でも構いませんが、個人に渡す場合には、お札(20~100バーツ紙幣)で渡します。渡すタイミングと渡し方については、最後に見送ってくれた所で、小さく折ったお札を相手の手に握らせるのがスマートです。この時に、微笑みとともに「ありがとう、おいしかった」、「とても良いサービスをありがとう」と、気持ちを込めた一言を付け加えるとよいでしょう。
タイの仏教には、「富める者は貧するものを助けよ」という教えがあります。この考えからすると、日本人駐在員はタイでは「富める者」ですので、チップを渋るべきではありません。少額をケチって相手との関係がギクシャクするよりも、払うべきチップをサッと払って、気持ちの良い関係を築くのがスマートな振る舞いだと思います。
住田 千鶴子 スミタ・カルチャー・センター&プロダクション主宰。長年にわたり、日本人駐在員や日系企業のタイ人従業員向けのトレーニング講師、国際会議での通訳・翻訳業務に携わる。東京ディズニーランドにて会議通訳・コーディネータ ー・アシスタントマネージャーとして18年活躍。初来タイは50年前の1963年。日本人駐在員の必須マナーについての著書が12月27日に出版予定 (SUMITA Limited Partnership出版)。 http://sumitaschool.com/