2015.08.20連載
タイカルチャー基礎知識:タイの母の日
タイでは8月12日はシリキット王妃のお誕生日で「母の日」にあたります(ちなみに、「父の日」は国王陛下のお誕生日である12月5日です)。王妃は1932年8月12日の金曜にお生まれになり、今年83歳を迎えられます。タイでは金曜の色は水色ですから、王妃の旗は水色。王妃のお誕生日を祝い、8月には多くの人々が水色のネクタイやアクセサリーを身に付けたり、ブルー系の洋服を着たりします。王妃は辛い料理を好まれ、特に東北タイのラープ、ソムタム、パラー(小魚の発酵食品)などがお好きだそうです。庶民的な食事を好んで召し上がるということも、タイ国民から愛される理由の一つかもしれません。
また、母の日に国王陛下のお母様に想いを馳せるタイ人も多いようです。「メー・ファー・ルアン」(高貴な母君)という敬称と、ソムデット・ヤー(祖母陛下)という愛称で国民に愛された国王 陛下のお母様は、お亡くなりになった今でもタイ国民の大いなる母として、今でも尊敬され、慕われています。
日本では「母の日」にカーネーションを贈りますが、タイでは白いジャスミンの花を贈ります。この時期、ジャスミンの花が高騰し、道端で売られているプアンマーライ(花輪)も高くなり、 花の数も少なくなります。この日、多くのタイ人は母親を中心に親族で集まり、食事に出かけたり、お母さんにプレゼントを用意したり、上座部仏教では一番汚れているとされる足を洗って差し上げたりと、趣向を凝らして親孝行をします。
さらに、タイの人々は、母親だけではなく年長の女性に対しても敬う心を表わします。会社の上司や同僚、親戚の年長者、果ては近所のおばさんにまで、青いリボンをあしらったジャスミンの花やブローチなどを贈ります。この機会にタイの人々から、母親だけではなく、年長の女性を敬う心を学ばれてはいかがでしょうか。 お盆で帰郷される方もぜひ心からの親孝行をしていらして下さい。
住田 千鶴子 スミタ・カルチャー・センター&プロダクション主宰。長年にわたり、日本人駐在員や日系企業のタイ人従業員向けのトレーニング講師、国際会議での通訳・翻訳業務に携わる。東京ディズニーランドにて会議通訳・コーディネータ ー・アシスタントマネージャーとして18年活躍。初来タイは50年前の1963年。日本人駐在員の必須マナーについての著書が12月27日に出版予定 (SUMITA Limited Partnership出版)。 http://sumitaschool.com/